私が実現したい世界像vol.2の続きです。
「薬用植物」という選択肢
現在、日本の平均寿命は女性は87.32歳、男性が81.25歳。抗生物質による細菌性感染の治療、心筋梗塞や交通事故といった緊急事態の処置など、私たちは近代西洋科学を基礎理論とする現代医学に、非常に恩恵を受けてきたことは事実です。
一方で、現代医学は疾患の捉え方が「局部」で、基本的には「心と体は別物」ととらえる傾向にある。
でも、今はアレルギーや原因はわからない慢性疾患、不定愁訴など、医薬品で部分的に解決するのでなく、心と身体を全体的に捉え、生活習慣とともにケアをしていかなければ解決していかないこともいっぱいです。
実際、昨年から薬用植物に関する情報をインスタで発信すると、子どもや体調不良に悩むママたちの相談がリアルでもネットでも集まってきました。
想像以上に子どもたちは薬漬けで、お菓子漬け。アトピー・アレルギー症状が出ている子たちが多い。そしてお母さんはたちも出産後からたまに貧血症状が続いたり、胃腸の調子が悪かったり、定期的に頭痛がしたり、肌荒れしたり、ストレスやプチ不調と共に生活している。
薬用植物は多くの女性たちをサポートする可能性を秘めている。医薬品だけという選択肢にでなく、心身を整えることの一つに薬用植物という選択肢があってよいと思うのです。
医薬品と薬用植物のちがいとは?
医薬品と薬用植物の根本的なちがい。
それは医薬品が有効成分単体であるのに対し、薬用植物は数百もの複合成分からできているという点です。だからこそ医薬品は効きが強い。薬用植物は有効成分のみならず、それを打ち消す成分も一緒に入っていたりする。そのため、人体に対する作用は穏やかです。
でも、穏やかだからこそ自分の免疫を邪魔しないのは前回書いたとおり。また、予防医療や予防美容として用いたり、症状が出た時も、病院に行くかずとも瞬間に対応でき、結果として長引かなかったりもする。
ハーブを煮出したり、精油の香りをかいだりと、芳香成分で心に作用できるというのも薬用植物のよいところ。ブレンドしてマイオリジナルブレンドハーブを作れるのも楽しい点です。
薬用植物の利用は学びとともに
ただし、医薬品にあうあわないがあるように、薬用植物にも人によってアレルギーがあったり、あうあわないはあります。
薬用植物は確かに薬理作用を含んでいるけれど、効能や使い方を知らなければ使いこなせません。
また、効能や使い方がわかったとしても、心身のメカニズムを知らなければ自分にあったものを適切に選べません。
それらの「植物ぐすり」は、ただそこにポンと置いているだけでは意味をなさないのです。
フランスやドイツ、オーストラリアでは専門過程を経たフィトテラピストやナチュロパスをに気軽に相談できます。アメリカでも「CAM(相補代替医療:Complementaly Alternative Medecine)」として医学校に講義が設置されたり、一部の地域でCAMの医療保険が適用されたり。
でも、日本ではアカデミックな公的自然療法教育機関がありません。本当に薬用植物を使いこなしたい場合、私がやってきたように、海外の医学協会と提携している植物療法の専門スクールや、全国規模で漢方薬局を運営している母体の漢方スクール、その他オンラインセミナーなどを掛け合わせて学んでいくしか道がない。
でもこの道は、大学に入り直すぐらいの時間と費用がかかる。多くの人にとって現実的ではありません。
だから私は植物のパワーで心と身体をととのえたいと考える人たちに、なるべくシンプルになるべく日々使えるように、心身のメカニズムもあわせた「薬用植物の講座」を展開していきたいと思います。
実は手に入りにくい日本の薬草
ハーブを取り寄せていて感じること。
それは日本の薬草が流通していないということ。地方の道の駅に行けば地元のおばあちゃんが摘んだ薬草が売られていたり、比較的若い人たちが移住をしてハーブを育てていたり、オンラインショップで取り揃えられていたり、ケバケバしい装いでドラッグストアに健康茶として売られていたり。
ちょちょこはある。でも、西洋ハーブは生活の木やenharbなど種類も豊富に全国規模で流通していますが、日本の薬草はまとまって流通に乗っていないんですよね。それぞれの地域に薬草じいちゃんや薬草ばあちゃんはいる。ただ、その智慧が途絶えつつあるし、効能が体系だって整理されていない現状。
日本は自然に恵まれているのに、日本の薬草を国内にも海外にも発信できていないことはとってももったいないと思います。私はビワの葉に救われました。ビワは温暖な気候を好む植物で、ビワといえば長崎。私の故郷の九州地方は薬草の宝庫ということを最近知り嬉しく思っています。
地方には愛でるように薬草を育てている方達がいらっしゃって、そういう皆さんは地元の薬草を知ってほしいと思っているし、使ってほしいとも思っている。私は植物療法士として、薬用植物をとおして、産地と自然な方法でセルフケアしたい人たちの縁を紡いでいきたいです。
短期と長期、便利と本質のはざまで
私は4年前までオーガニックコスメメーカーに勤めていました。オーガニックコスメはケミカルコスメのアンチテーゼです。
原価が安く持ちがよいため流通にのせやすいケミカルコスメ。だから消費者も買いやすい。合成界面活性剤で肌のバリアを弱めた上で合成ポリマーが内側から保水量を増やすため「ふっくら」する印象になる。短期のキレイは確実に達成する。
でも、合成界面活性剤は本来機能しなければならない肌のバリア機能を侵すため、長期的に見ると肌トラブルのリスクがあり、ダメージが蓄積する。(だから、全く美容に無関心できた50代の方の肌が誰よりもキレイだったりする!)
そこでケミカルコスメのない時代に一般的だったオーガニックコスメが再び注目されるようになるります。本物の「リアルオーガニックコスメ」は数少ないけれど、肌のバリア機能を犯すような添加物を排除し植物成分を主軸にしたコスメたち。種類も増え、どんどん進化も遂げています。
薬用植物と医薬品
オーガニックコスメとケミカルコスメ
自然食と加工食
その根底にあるものは共通しています。
健康や美容を
長期でとらえるのか
短期でとらえるのか。
便利・快適さを重視するのか
自然治癒力やホメオスタシスといった
心身に備わる本質的な仕組みを重視するのか
それは生き方の好みであり、センスであり、他者がとやかくいうことではない。
でもひとつだけあるのは、資本が後者に偏っているという点です。医薬品は税金が投入され、安価で利用できる。ケミカルコスメも加工食品も大量生産ができて利益率がいい。
大きな偏りがあり、全く中庸でありません。人生100年生きると言われる時代。長期で美容と健康をとらえていきたいという時の選択肢があまりに少ないのが現状です。
植物ぐすりでキレイになる
自然食、リアルオーガニックコスメ、薬用植物。
これらの「植物ぐすり」を知り、学び、使っていると、この植物はどこで、誰の、どんな思いで、どんなふうに育てられているのかが気になってきます。
さらに、その生産物がどのように製造・加工され、私の手元にあるのかも。というのはそれらが全ておいしさや薬効の質を左右するからです。
あとは入っている容器(特にコスメの)も、せっかくの植物ぐすりを台無しにするものになっていないかも気になってくる。
もっというと、植物ぐすりは際限なくあるものではないため、「使わせてもらっている」という感覚が自然と芽生えてくるし、植物ぐすりが育つ土壌をいかに汚さないかも視野に入ってきます。
そうすると、私たちが使うものが「生分解するもの・循環するものである」ことの大切さに気づく。
植物ぐすりを使い始めると、自分と環境のキレイが繋がっていることをじわじわと感じられてくるのです。
だから「植物ぐすりでキレイになる」という副題は、決して自分だけのキレイさという意味ではありません。
薬にたよりきるのでなく、
植物のパワーで心身をセルフケアする
ことがあたりまえの世界
現状からいくと、このような世界はものすごく遠い世界。でも、そっちの選択肢もあるんだよということをいかに示すことができるか。
私はそこに挑戦していきたいと思います。まずはこのメディアをとおして、「PHYTO REMEDY(フィトレメディ)」に少しでも関心がある人と繋がりたいと思っています。
by PHYTO REMEDY フィトレメディ 溝渕史乃