赤ちゃんは約40週の胎児生活を経て生まれてくる。この間、羊水の中で3mmだった胎芽は、50cmの大きさになります。
「人類発生から40億年。妊娠週数は40週。赤ちゃんの成長は1週間に1億年。宇宙規模の進化で壮大なエネルギーなんです」
と95歳まで現役助産師だった坂本フジエさんが、著作『大丈夫やで』で言っていました。
1週間に1億円とはなんという成長率!
その成長率をサポートすべく、なるべく温かく、栄養豊富に、酸素もたっぷり、いらないゴミは渡さずいた方がいいことは確かです。
とはいえ、多くの妊婦さんが多かれ少なかれ働いていて、妊娠と仕事の両立はなかなか大変なことも事実。でも、生まれて後の乳児湿疹を軽減させるためには、下記のことは気をつけてほしいです。
(1)身体にとっての「ゴミ」を避ける
前回の赤ちゃんはお母さんの食べたものでつくられる〜ワーカーホリックだった妊婦時代〜でも書いたとおり、酸素や栄養素と一緒に、母胎のゴミも胎盤を通って赤ちゃんに渡されます。
ゴミは赤ちゃんが生まれたあと乳児湿疹として出されますが、ゴミの量が多いと炎症が長引き、とびひやアレルギーを招くリスクが高まります。
結果、ステロイドを使わざる得ず、ステロイドは長期で使うほど抜け出すことが難しくなります。
だから、妊娠中、いかに母胎をゴミまみれにしないかというのは非常に大切。
今の日本では普通に生きているだけでゴミが体内に入ってきます。添加物や残留農薬、環境ホルモン、重金属。これらは身体にとって必要ないことがわかりやすいゴミ。
一方、わかりにくいゴミがあります。
それは過酸化脂質。過酸化脂質は特に、植物油脂(不飽和脂肪酸)を必要以上に摂取した時に発生し、炎症と化します。
(トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸+水素添加なのでこちらも過酸化脂質になります)
乳幼児アトピーの子どもたちを観察していて気づくことがあります。それは湿疹が最も悪化するのが、決まって揚げものを食べた日の夜ということ!
身体中にブツブツが発生し、ボリボリかきはじめる様子は本当にびっくりします。
部分的なブツブツは植物油脂が入っているものを少量食べたときなどに発生します。でもここまで激しく全身ブツブツになることまではない。
そう考えると、「不飽和脂肪酸(酸化しやすい)×鉄」コンビがいかに強力な炎症材料になるのかがよくわかります。
普段食事に気をつけている無添加ママの場合は、植物油脂フリーにしただけで子どもの湿疹が治っていくこともあるくらい。
コンビニ弁当、加工食品、冷凍食品、外食など、本当にいろんなものに植物油脂は入っています。だから、妊娠中の食事は無添加に越したことがないのですが、それと同様に植物油脂には気をつけた方がいい。
植物油脂に含まれる栄養素は必要です。でも、現代人は気づかないところで摂りすぎている。
炒め物や揚げ物が多い場合は特に要注意で、調理法も「煮る・蒸す・焼く(グリル)」の方が過酸化脂質がたまるリスクが確実に低くなります。
これらのことは、母乳をあげているママにも言えること。もっと言うと、全ての大人にも言えること。
大人は肌のバリアが乳幼児より頑丈だから湿疹としては出てこない人が多いですが、身体の中に溜まって女性であればPMSなんかで出てくることもあるしシミの材料にもなったりする。
なので植物油脂の摂りすぎは全ての方に要注意ではあるのです。
(2)糖の「質」を選び、切らさない
盛んに言われたこともあった「糖質制限」。ある人のあるタイミングにとっては有効に働く糖質制限も、他の人にあてはまるとは限らない。
たとえ一時期は有効に働いていても、また体が作り変えられ糖質制限をしないほうがいいタイミングが訪れます。
妊婦は自分も子も生かす必要があるので、3大栄養素の中でエネルギーの生産効率が最もよい「糖質」を制限することは危険です。
また、糖質制限をし糖代謝が行われないと、体内は脂質代謝に切り替わるので、その場合過酸化脂質が大量に発生する可能性が高く、それが胎児に渡されると乳児湿疹がひどくなる。
その一方で、糖質を大量に摂取すると「妊娠糖尿病」のリスクを心配する方も多いと思います。糖質は摂りすぎても取らなさすぎても問題が出るので、やはり「適した量」と言うことになる。
糖質も単糖類、二糖類、多糖類とあり、多糖になるほど消化に時間を要しますが、その分、急激に血糖値が上がることを避けられます。妊婦になるとやたらお腹がすくこともあります。
そんなとき、おやつがものすごく食べなくなるんですが、とにかく、偏らないことは重要です。
●基本は多糖類でガッと血糖値が上がりすぎない「お米」
●白米より雑穀を入れることでミネラルバランスを調整するとよし。酵素玄米もオススメ
●パンやパスタは植物油脂が入ってくることが多いので、週末のお楽しみに
●おやつの食べ過ぎは「食事が足りていない」という合図かもしれません
●おやつは手作りは無理としても、加工度の少ない手作りっぽいおやつを選択
●冷えには注意ですが、旬のフルーツもよし(代謝スピードが早いのでエネルギー不足によい)
こんな感じで適量に適切な糖質を切らさず摂取すること。
他にも細かいことを言えば色々あるのですが、大きなポイントはこの2点です。